【理解できないほどのバーゲンプライスで業界震撼!】乗ればわかる! 「BYD ラッコ」は驚異の実力を持った世界最先端のBEV軽自動車だった!

【理解できないほどのバーゲンプライスで業界震撼!】乗ればわかる! 「BYD ラッコ」は驚異の実力を持った世界最先端のBEV軽自動車だった!

2026年8月27日

ついに発売された、軽自動車業界を震撼させるBEV(電気自動車)。BYDが日本市場専用に開発した「ラッコ」こそ、軽自動車の新たなベンチマークとなる可能性を秘めています。2026年7月28日に発表・発売された、まさに“軽自動車市場の黒船”。ラッコの恐るべき内容と、試乗インプレッションを併せてお届けします。

正直SNS等ではいい声ばかりが投稿されているわけでもないのですが、発売したばかりの現時点(26年8月)では実際にオーナーになった人の声はまだ皆無。ネットの意見はあくまでも想像にすぎないということを、はじめに断っておきます。素人のネット上での意見に、決して惑わされないでください。

◆こんなに手厚い保証、今まであった??

報道向けの試乗会では、必ずそのクルマについてのプレゼンテーションが行われ、その直後に試乗という流れが一般的なのですが、今回はその最初のプレゼンですでに度肝を抜かれました。それは、保証の内容です。

無償で付帯するメーカー保証としては異例な長期保証、「6年/15万km」の新車保証がラッコ全車に付いてくるのです。しかも、ロードアシスタントサービス付きで! 今まで10万kmという保証は見たことがありましたが、さすがに15万kmは前代未聞です。しかも登録車ではなく、軽自動車で……。この保証を付けられるBYDが、いかに日本市場を本気で狙いに来ているかが、ヒシヒシと伝わってきます。

保証はこれだけではありません。BEVの要とも呼べるメインバッテリーと高電圧部品に関しては、さらに長い「8年/16万km」の保証が付いてきます。このような長期保証付帯は世界No.1のBEVメーカー、BYDだからできる自信の裏付けであり、バッテリーまで自社で生産する強みともいえます。

この保証内容を見て、驚かない人、納得しない人は、新車販売の常識を知る人であればほぼいないのではないかと思います。昨今の自動車は、BEVに限らず故障は限りなく少なくなってきてはいるものの、どうしても国産車に比べれば輸入車の故障率が高いのは否めません。しかし万が一故障したとしても、メーカーの手厚い保証が付いているのなら安心できるもの。BYDの新しいところは、ラッコに安心感も付帯している点なのです。

◆補助金込みでアンダー200万円から!

ラッコの日本発売に伴って、これまでBYDは積極的にプロモーションを展開してきました。ボディサイズやスペック、バッテリーの2種展開などほとんどの情報が開示されていましたが、ただひとつだけ発表時まで秘匿扱いにされてきた情報がありました。それが車両本体価格です。

これは、昨年のジャパン・モビリティ・ショーでワールドプレミアされた直後から、このクルマを気にする人すべての人が知りたかった情報でしょう。発売と同時に明らかになったラッコの価格は、なんと214.5万円からと、軽自動車のBEVとしては破格な設定で登場したのです。

ラッコのグレードは3種で、いわゆる“松竹梅”のグレード展開。先述の214.5万円は、一番ベーシックな“梅”でグレード名は「200」。バッテリー容量(総電力量)が22.40kWhのいわゆるライト仕様で、一充電走行距離は210kmです。ミドルグレードの“竹”は「300プラス」で、こちらは35.84kWhで320kmの航続距離。最上級の“松”「300プレミアム」も、バッテリー性能はプラスと同じ仕様です。300の価格は、プラスが239.8万円、プレミアムは249.7万円となっています。

国が給付するBEVの購入補助金にももちろん対象で、ラッコは一律15万円の補助が受けられます。登場時こそ、補助金込み200万円を切ったエントリー価格ばかりが注目されましたが、実際のグレード別販売比率は最上級の300プレミアムが受注の約8割を占めている模様。最上級で250万円切りというインパクトは、市場でかなり強かったようです。

◆キャッチコピーどおりの近未来感

ここからは実車の検分に移りますが、まずはそのデザインから。日本の軽トールワゴンを徹底的に研究して開発されただけあり、フォルムはホンダ N-BOXやスズキ スペーシアなどで見慣れた背の高いMPVスタイル。両側電動スライドドアも、もちろん備えています。

斬新に映るのは、前後のLEDライト類。長いカプセル上の「コクーン」モチーフを採用するラッコには、内外装どこもかしこもこのコクーンモチーフが散りばめられています。前後のライト類も例には漏れず、横長に伸びる両端は丸められコクーン形状になっていることがわかります。BEVらしい近未来感を演出するデザインアクセントといえるでしょう。

カタログをあらためて見ると、表紙にぴったりのキャッチコピーが踊っています。

「未来の軽を、ちょっとお先に。」

まさにこの通りのデザインですが、このキャッチコピーはメカニズム面も含めてのことだということは後ほど解説します。

インテリアでは、やはりコックピット周りは近未来を感じさせるシンプルでクリーンなデザインを採用しています。エアコンのレジスターや、ドアノブ部、センタークラスターのスイッチ部など、インテリアにもやはり至るところに“コクーン”が配されています。

操作スイッチをすべてディスプレイ内に収めるのではなく、エアコンなどのよく使うスイッチ類を物理スイッチとして残している点も好感が持てるポイントです。あとは、些細なことかもしれませんがウインカーレバーが国産車と同じ右側に付いていることも、国産車からの乗り換えを意識している点だといえるでしょう。

◆国産車にまったく劣らないユーティリティ

国産軽トールワゴンを研究し尽くしているだけあり、室内の広さとユーティリティはまったく引けを取らないレベルで仕上がっています。前後シート間のスペースは十分すぎるほどで、200mmのロングスライド機能でリアシートを一番前に移動しても、普通に大人が座れるスペースを確保しています。

そのスライド機能は、リアシートが5:5で分割されているため、左右独立してスライド可能。もちろんシートバックも可倒式ですので、ラゲッジフロアの拡大も容易です。加えて、座面部分だけ跳ね上げるチップアップ機能も付いているため、子供の着替えや背の高い荷物を乗せるような場面でも活躍しそうです。

室内の収納や、最近では必需品となっているUSB-Cの充電ジャックなどもしっかりと配備され、まったく申し分のない出来。これはオーナーになって不満点は少ないだろうと思わせる充実ぶりでした。

Bピラー上部に貼ってあるラッコの可愛いエンブレムを見ながら運転席に乗り込むと、視認性の高いディスプレイメーターが目に飛び込みます。この7インチTFTディスプレイのメーターは、全グレードに標準装備。ADAS(先進運転支援システム)も、全グレードに標準化されていることを考えると、コストパフォーマンスのよさが改めてわかります。

◆乗ってわかる新型シャシーの高性能ぶり

シフトレバーをDレンジに入れ走り出せば、BEVならではのスムーズな加速ですぐに速度が乗ります。乗り心地自体は、若干硬めな印象。この点は、最新の国産トールワゴンのほうがしなやかなセッティングに仕上がっています。しかしながら、速度を徐々に上げワインディングに差し掛かった瞬間、最適な重量バランスがもたらす走りの素性のよさが顔をのぞかせ始めました。

ラッコのシャシーは、BYDがラッコ専用に新開発した「Xパック」と呼ばれる初採用の新型プラットフォーム。駆動用バッテリー「ブレードバッテリー」を収めたフロア下の空間には、電子制御ユニットやコンバーター、高電圧配電ユニット、バッテリーコントローラーなどの車両コントロールユニット類もすべて収める、まったく新しいパッケージングを実現しています。

このXパックのメリットは、徹底的な低重心化と、安全性を両立させている点です。コントロールユニット系は通常フロントフードの下に収まる場合がほとんどですが、ラッコがフード内に収めているのは駆動用のモーターユニットのみ。制御系をすべてフロア下に移動したため、新たなクラッシャブルゾーンを確保しました。しかも、これらの冷却にはバッテリーと制御系でそれぞれ独立した冷却装置を備えるため、熱にも強い安全な仕様になっていることも特徴です。

「未来の軽を、ちょっとお先に。」のキャッチが頭に浮かびましたが、正直ちょっとどころではないほど先に進んでしまっている感が否めない、プラットフォームの先進性。ここまで追いつくのに、国産メーカーが何年かかるのでしょうか……。

BEVにおける一番の重量物がすべてフロア下の、しかもホイールベース内に収まるという理想的な配置を実現したラッコ。この新開発プラットフォーム「Xパック」がもたらす低重心化は、当然運動性能に大きく影響します。ワインディングに差し掛かった途端、ラッコは気持ちいいくらいスムーズなコーナリング性能を見せてくれました。ハンドリングはニュートラルで、日本のワインディングの速度域ではとてもよく曲がってくれます。

ハンドルを握っていて一瞬頭をよぎったのは、旧型の日産 ルークスでした。あのモデルも、トールワゴンでは異例なほどワインディングが楽しめるクルマであり、パドルシフトを駆使してコーナーをクリアしていくのが楽しいクルマでした。ラッコはここに近いイメージです。

◆いい点ばかりではなく気になった点も

と、ここまでは褒めてばかりのインプレッションでしたが、ここからは気になった点にも触れていきましょう。先ほど触れた引き締まった乗り心地は、街中では少し硬すぎる場面があるかもしれません。特に後席に座った際に硬さを感じました。ただ、あえて挙げればのレベルですので、言われなければ気にならない人も多いでしょう。

ほかに気になった点は、ドライブモードをスポーツにした際の操作系の重さです。アクセルペダルやステアリングフィールが少し重たくなるのですが、少々過剰すぎるかなと感じました。街乗り中心の軽自動車に、ここまで重たくする必要性はあるのかなと思わず考えてしまうレベル。重たく感じる人は、ノーマルモードで走るようにしましょう。

あとは、軽自動車としては少々重めの車重からくる、各パーツの消耗具合も気になります。最上級の300プレミアムは1230kgと、コンパクトカー並みの車重に達します。現在の軽トールワゴンはおよそ1000kg前後の場合が多く、同じ軽自動車から乗り換えた場合、特にタイヤやブレーキパッドの消耗の早さに最初は驚くかもしれません。

しかしどれも、あえて挙げればの欠点のみ。全体的に出来のよさが感じられ、今までのBEVの常識では考えられないほどコストパフォーマンスが高いモデルに仕上がっていました。

◆総合的にみて国産勢からは脅威

世界No.1BEVメーカーの実力を、これでもかと見せつけられた新型軽自動車ラッコの試乗。シーライオンなどBYDの他車種に乗った経験から予想していたよりも、はるかに上の実力を持っていたことに驚きを隠せませんでした。最先端の技術から手厚い保証まで、その中身を知れば知るほど、どうしてこの金額でリリースできたのか理解ができないくらいのバーゲンプライス。これは、まさに黒船。まさに「未来の軽を、ちょっとお先に。」です。国産メーカーにとっては、脅威の存在が現れてしまいました。

日本国内で一番売れているジャンルの、軽トールワゴン市場に突如出現したBYD ラッコ。このジャンルには、なぜかこれまでBEVは一切投入されてきませんでした。当然注目度は高く、発売1週間で異例なほどの来客数が各地のディーラーから報告されているという、まさに「ラッコ効果」がBYDには起き始めています。

都内の目黒通りにあるBYDディーラーの前を通りかかったら、たまたまですが若いカップルがラッコを熱心に見ていました。これが週末の出来事ではなく、平日の昼間だということにも驚きでした。関心度はかなり高く、今後ラッコが軽トールワゴン市場のベンチマークにされる可能性もあるでしょう。

新たなシティコミューターとして、大きな可能性を示してくれたBYD ラッコ。世界最先端のBEVの実力が気になった人は、ぜひディーラーに足を運んでみてください。

<文&写真=青山朋弘>


■ラッコ 300プレミアム(FWD) 

主要諸元

【寸法・重量】
全長:3395㎜
全幅:1475㎜
全高:1800㎜
ホイールベース:2520㎜
トレッド:前1295/後1305㎜
最低地上高:130㎜
車両重量:1230㎏
乗車定員:4人

【モーター・性能】
型式:TZ180XSAB
最高出力:47kW(64ps)
最大トルク:160Nm(16.3㎏m)
駆動用バッテリー種類:リン酸鉄リチウムイオン
駆動用バッテリー総電力量:35.84kWh
一充電走行距離(WLTCモード):320㎞
最小回転半径:4.8m

【諸装置】
サスペンション:前ストラット/後トーションビーム
ブレーキ:前Vディスク/後ディスク
タイヤ:前後165/65R15

【価格】
249万7000円


この記事を書いた人

青山朋弘

【執筆者】青山朋弘

フリーランスライター兼編集者

新車専門誌、中古車専門誌、モータースポーツ誌などの編集部を経て、現在はフリーランスの編集&ライター。
自動車専門誌やWebサイトに寄稿しながら、YouTube動画の撮影・編集も行う。
愛車は10年前に走行5万kmで見つけた、NA型ロードスターの初期型。
趣味のMTBをどうやって積むのがいいか、常に試行錯誤している。

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