
◆990Sとは真逆の思想で走りを追求
まずは、注目の特別仕様車PSについて触れましょう。ピュアスポーツ(Pure Sports)の名を与えられたこの特別グレードは、ひと言でいえば今までにない「究極のNDロードスター」です。
これまでのロードスターとは違ったアプローチの仕方で、しなやかな乗り心地と路面追従性を両立させた仕様。現行ND型の、最終到達点ともいえる進化を果たしています。圧倒的人気を誇った限定車「990S」とはまったく逆の特性を持った、ND型のもう一つの究極型。NDのよさを知っている人にほど、この仕様は刺さるのではないかと予想します。
迫り来るコーナーをヒラリヒラリとクリアする、初代NA型からの伝統ともいえるロードスターならではの特徴を持って2015年に登場した、現行ND型ロードスター。21年に登場した限定車「990S」は、その名の由来でもあるわずか990kgのライトウエイトを武器に、ロードスター伝統の軽快感を究極に高めたモデルでした。

対してPSは、この990Sとは真逆に発想を転換させたセッティングが施されたクルマです。先行して販売されすぐに完売してしまった、サーキット特化の限定車「MAZDA SPIRIT RACING 12R」の開発中に見つかった、今までにないサスペンションの考え方がこのPSと最上級グレードのRSに反映されました。具体的には、バネを固めながら減衰を抜くというセッティング。これにより、「ロール剛性は高いのに、極上にしなやかな乗り心地」と、相反する性能を両立する異次元な乗り心地を実現しました。

990S、MAZDA SPIRIT RACING 12R、そして今回のPSと、3モデルすべてに関わってきた開発主査の斎藤茂樹氏は、PSこそが「主査になってから一番作りたかった仕様」と語っています。車両実験部出身で足回りの開発をずっと続けてきた、ロードスターの走りを誰よりも知る斎藤氏が自信を持ってオススメする、極上の足まわりを持った仕様。最新NDロードスターでも特にPSとRSは、普段の走行からスポーティな走り、そしてサーキットでの本格走行まで、オールマイティに楽しめるはずです。
◆各グレードの違いとは?
そんなPSの価格は、366.3万円。最上級グレードRSの374.0万円に、もはや近い金額設定となってしまいました。さてここまで金額が近いと、どちらか迷う人も多いのではないでしょうか。そこで、PSとRS、そして一番の売れ筋である「Sスペシャルパッケージ」を加えた各グレードの装備比較を表にまとめました。

装備の違いを見ればわかりますが、上級グレードになればなるほど走行性能が洗練されていきます。サーキット走行に重きを置くのなら、ナンバー付きレースベース車の「NR-A」が一番ですが、ほかのシーンでもNDの走りを楽しみたいのなら、Sスペシャルパッケージ以上を選ぶほうが賢明でしょう。
ベーシックグレードのSは1010kgという軽量さが特徴であり、990Sのような軽快感を求める人にとってはベストな選択となりますが、快適性を多少犠牲にしていることは確か。少しでも普段乗りを快適にしたいのであれば、ADASやフルオートエアコンが備わるスペシャルパッケージは魅力的に映るはず。リセールも当然Sよりも上乗せとなる可能性が高いでしょう。
初代NA型から続くレトロクラシカルな雰囲気を味わいたいなら、Sレザーパッケージもいいでしょう。その中でも特にVセレクションは、タンカラーのインテリアとソフトトップが選べる仕様。人気も非常に高いため、リセールも期待できます。と、ここまでは初代から続くロードスターらしい軽快感を味わいたい人にオススメのグレードです。23年に実施されたビッグマイナーチェンジで、驚くべく進化をはたした現行NDのよさはなんといっても走りの気持ちよさ。コーナーをヒラヒラとかわしていく、ライトウエイトスポーツ本来の気持ちよさを重視するなら、最新LSDも採用されているSのスペシャルパッケージやレザーパッケージがオススメできます。

◆じつは内容が近いPSとRS
対して、特別仕様車のPSと最上級のRSには、今回の改良のハイライトでもある新開発サスペンション、そしてビルシュタイン製ダンパーが付いてきます。路面の追従性を高め、走行安定性を引き上げていることが容易に想像できる仕様。今までとはまったく違うNDの乗り味は、ぜひいま現在ND乗りの人にこそ乗ってほしい仕様だといえるでしょう。

RSにはレカロシートが付いてきますが、このシートはかなり秀逸な作りなので文句なしにオススメできます。ほかの装備、例えばPSに標準装備されるブレンボ製ブレーキシステムやレイズ製の軽量鍛造アルミホイールは、じつはRSでもオプションで選べます。PSは、レカロシートにこだわらない人、もしくは自分好みのシートに交換する前提の人には間違いなくオススメできる仕様です。対してRSは、これさえ買っておけば間違いなしと断言できる、さすが最上級というべきグレード。これら2グレードに関しては、間違いなくリセールは他グレードよりもよくなるでしょう。
◆現役NA乗りが選ぶならこのグレード
最後に、現役で1990年式のNA型ロードスターに乗る筆者が現行NDを選ぶなら? となると、やはり最新のサスセッティングは興味津々です。26年9月デリバリー開始なのでまだ試乗していない段階ですが、試乗してみて気に入る仕様であれば、RSをチョイスしたいです。あのレカロシートは、一度味わうとマジで欲しくなります。長距離乗る人や、ロングツーリングが好きな人にこそオススメしたいシートです。
個人的にはVセレクションのタンカラー内装とソフトトップは、かなり魅力的な部分。しかし、特にソフトトップは消耗品でもあり乗り続けていれば必ず交換時期はきます。その際にベージュ系のソフトトップに交換するという方法もありますので、私の一番のオススメはRSということにしておきます。

とはいえ、乗った時のフィールは人それぞれ。購入する際には、ぜひRSとPSの新サスペンションと、Sグレード系のノーマルサスと乗り比べてみてください。リセールなどの情報は考えず、まずは自分の走りの好みに合う方を選んだ方がいいでしょう。ロードスターというクルマは、いつでもどこでも走る楽しさを最大限に味わえる、国産車では稀有な存在。思い切り楽しめる方を選べば、幸せなカーライフは必ずやってくるでしょう。
<文=青山朋弘 写真=マツダ>







.png?height=193&width=309&fm=webp)


