ノアの買取参考相場と傾向
2023年の登録台数では、1~6月で5万台を超え全登録車で5位。ミドルサイズミニバンでは文句なしのトップセールスを記録している、トヨタの大人気ミニバンです。しかしながら、新車の納期遅延問題がまだまだ長引いていて、発売から2年近く経った23年10月現在もオフィシャルサイトでは納期6ヶ月以上の表記のまま。そのせいもあってか、中古車市場での現行4代目ノアは流通量がさほど多くありません。
22年1月に販売開始となった4代目ですが、23年10月現在での全国の中古車流通台数が600台程度と、販売台数のわりに多くありません。新車の納期遅れが一番の理由であることは間違いないのですが、トヨタの販売店側が発行しているといわれている“転売禁止規約”もその原因のひとつと考えられます。
これは、納車から12ヶ月という売却禁止期間が設けられていて、それが守られなかった場合は今後一切トヨタのクルマが購入できなくなるという決まりごと。転売目的の業者を一掃する方法として、大変有効な手段です。現行モデルの流通量が少なくなり買取額は高値で安定するのですが、その反面、購入するユーザー側からするとまったく安くならないのでメリットがありません。これらの要因から4代目は、買取では250~400万円、中古車の平均額は370万円と非常に高額で取引されています。
以上の理由から、ノアはいまだに先代の3代目が中古車市場では中心的な存在となっています。3代目の全国流通台数は、2000台を上まわるほど。買取相場は、現状50~250万円の買取価格で推移しています。14年に発売した初期モデルに関しては、すでに中古車市場で100万円を切る個体が多くなってきているため、状態によっては買取額が50万円を下まわる可能性もあるでしょう。
人気が高いのは、ハイブリッド車、17年7月以降の後期モデル、そしてエアログレードです。後期型になるだけで150万円以上、ハイブリッドやエアロが加われば、200万円オーバーも見受けられます。中古車市場では3代目ノア全体の平均売価が約210万円。現行の4代目が出て2年近く経っていることを考慮すれば、高値で安定しているといえるでしょう。
とはいえ、今後は12ヶ月の転売規制を終えた4代目が、中古車市場に増えていくと考えられます。22年に比べ23年のほうが生産量は回復してることから見ても、24年からは中古車市場への流通量が大幅に変わる可能性も高いでしょう。4代目も3代目も、今後の買取額は上がることなく、下がる傾向になると予想されます。
ノアの買取時の注意点
中古車は走行距離によって価格が変動しやすいものです。3、5、10万kmを区切りにして、近い場合はなるべくそこを上まわらないうちに売却しましょう。ハイブリッド車はバッテリーの消耗加減も気になるところです。走行距離は短いことに越したことはありません。
ノア特有の注意点は特にありません。ほかのクルマと同様に、装備品がすべて正常に作動しているか、異音や振動はないかなど、基本的な部分はチェックするようにしましょう。車内の汚れやにおいも査定ではマイナスポイントになります。清掃と同時に消臭もするように心がけましょう。
ノアの概要
ノアは5ナンバーサイズのミニバンとして、前身のタウンエースノアからシャシーや駆動方式を一新して01年に登場しました。FF化、両側スライドドア、低床化フロアなどを備えた新世代のMPVは、時代のニーズに柔軟に対応し、トヨタを代表するファミリーカーへと成長。14年に登場した3代目ではハイブリッドシステムも搭載されました。
現行の4代目は22年に登場。トヨタの新しいクルマ作りの基本ともなる、TNGAの思想を取り入れたGA-Cプラットフォームを採用し、走りの質も大幅に向上させました。23年現在、ミドルサイズミニバンではトップセラーとなっています。
ノアを高く買い取ってもらうコツ
ユーティリティはもちろんのこと、燃費や乗り心地も含めた走行性能も多くのファミリー層から支持を得ているノア。いつの時代もクラスの大本命として、多くの台数が販売されてきました。
高年式、低走行になればなるほど買取が高くなるのは当然ですが、ノアの場合はオリジナルかつ状態のいい個体と同じくらい、カスタム車両も人気があり高額で取引されているという特徴があります。人気のあるカスタムほど、査定額もアップするでしょう。ここからは、査定アップにつながる人気のカラーやオプションを紹介していきます。
ノアの人気グレード
どの世代もエアログレードの人気が高いことが特徴といえます。22年における現行4代目の新車販売構成比は、1位がハイブリッドS-Zで32%、2位がガソリン車のS-Zで11%と、最上級のエアログレードで全体の40%以上が占められています。
4代目のグレード構成は、スタンダードなX、ミドルグレードのG、最上級のZという3グレードが基本。GとZには、エアログレードのS-GとS-Zが設定され、この5種のグレードが2.0Lガソリン車と1.8Lハイブリッド車のそれぞれに展開。駆動方式もそれぞれにFFと4WDが用意されるため、合計で20パターンのグレード構成となっています。
兄弟車のヴォクシーがエアログレードだけの展開となったため、エアロなしを選ぶとなるとノアのみしかありません。そのせいもあるのか、販売構成比の3位にはエアロが付かない、ハイブリッドZが入っています。買取の相場も、需要の高いこのトップ3が確実に高額になるでしょう。
3代目もエアログレードが人気なのは同様で、一番人気はSiのW×B(ダブルバイビー)です。W×Bはホワイトとブラックの頭文字を掛け合わせた造語で、Siに上質さをプラスした特別仕様車。その名の通り黒を基調としたシート表皮など、おもに室内の仕様が変更されています。
3代目のグレード構成も、X、G、は変わらず、Siがエアログレードとなっていました。この3種ではSiが一番人気なのですが、前期型にはハイブリッド車にSi設定がありませんでした。ハイブリッドのSiは後期型で高年式ということもあり、ほかのグレードよりも高額で取引されています。
そして忘れてはいけないのが、カスタム車両です。ノアは人気車で販売台数も多いため、多くのメーカーがカスタムパーツをリリースしています。一番有名なところは、トヨタ純正のモデリスタやTRDなどですが、こういったブランドのパーツが一式装着されている個体は買取がとても有利になります。これも需要が多いからというのが理由ですが、フルコンプリート車両という存在が少なくレアなので、余計に高額になりやすいです。
ほかにも、トヨタ純正以外のサードパーティ製エアロの装着車も同様に高額で取引されるケースが見受けられます。改造車というと一般的に相場は下がるイメージですが、ミニバン市場は少し特殊なようです。フルコンプリート車両であればあるほど、価値が高く見られる可能性もあります。
ノアの人気カラー
ボディカラーはやはり定番の白、黒、シルバーが強いです。特にエアログレードは白と黒の需要が圧倒的で、それ以外はあまり見たことがないくらいです。ガンメタや、紫系の濃い色も一定の需要はあるものの、買取となると白と黒が有利であることは間違いないでしょう。
エアロが付かないノーマルグレードですと、シルバーも人気の色です。一般的に人気のある色が流通している数も多いので、白、黒、シルバー以外はマイナスになってしまう可能性もあります。
ノアの人気オプション
オプションではありませんが、ノアには7人乗り仕様と8人乗り仕様があります。2列目シートがセパレートになるか、ベンチシートになるかの違いです。ここは人気というよりも好みの問題ですので、需要も両方同じようにあります。買取額に影響はさほどないでしょう。
人気のオプションは、やはりムーンルーフでしょう。新車注文時にしか選択できないメーカーオプションであり、ルーフの開放感と換気のしやすさで高い人気を誇るオプションです。ムーンルーフが付いているだけで、査定がプラスされることもあるでしょう。
電動スライドドア、後席用フリップダウンモニター、バックカメラ付き純正ナビゲーションなども人気のオプションです。特に電動スライドドアは、運転席側/助手席側の両方が電動であれば言うことなしです。これらが備わる個体は、高額買取が期待できます。