ロードスターの買取参考相場と傾向
ロードスターは、マツダを代表するライトウェイトオープンスポーツカーです。1989年の初代(NA型)発売以来、4世代にわたり、人馬一体の走りの楽しさと、オープンカーならではの爽快感で世界中を魅了し続けています。2023年10月には、現行モデル(ND型)にとって初の大幅改良を実施。安全性能の向上や新技術の導入など、大きな進化を遂げ、今後の買取相場にも影響を与えることが予想されます。
ロードスターの買取相場の特徴は、他の車種と比べて年式の影響を受けにくい点です。特に初代(NA型)と2代目(NB型)はネオクラシックカーとして、愛好家の間で高い人気を誇り、状態の良い個体は高値で取引される傾向があります。また、モデルチェンジのサイクルが比較的長く、一度購入したオーナーが長く乗り続ける傾向があるため、市場に出回る車両の絶対数が少ないことから需要と供給のバランスにより価格が維持されやすい側面もあります。
しかし、年式や走行距離、グレード、ボディカラー、状態といった要素が買取価格に影響を与えるのは、他の車種と同様です。特に2022年以降は、世界的な半導体不足やコロナ禍の影響もあり、新車供給の遅延による中古車市場の活況、経済状況の変動など、さまざまな要因が複雑に絡み合い、相場は不安定な状況にありました。
そんな中の2023年10月の大幅改良は、ND型ロードスターにとって大きな転換点となり、今後の買取相場にも影響を与えることは間違いありません。
まず、安全面では、先進のドライバーアシスト技術が拡充され、交通標識認識システム(TSR)や車線逸脱警報システム(LDWS)、マツダ・レーダー・クルーズコントロール(MRCC)が標準装備化されるなど、日常の安心感が飛躍的に向上しています。
走行性能においても、ASYMMETRIC LIMITED SLIP DIFFERENTIAL(アシンメトリックLSD)の導入に加え、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)のTRACKモードを新設。これにより、ドライバーの意図を忠実に反映しつつ、高い限界領域でのコントロール性とリヤトラクション性能が格段に改善され、サーキット走行からワインディングまで幅広く楽しめる走りが実現されています。
さらに、電動パワーステアリング(EPAS)の構造を刷新し、ステアリング応答性と手応えが一段と鋭敏かつ自然なものとなったことも大きなポイントです。試乗記でも「これまで以上にリニアでダイレクトなハンドリングフィールが得られ、車との一体感が増した」と高く評価されています。
デザイン面では、フロントグリルやバンパーの形状変更によりスポーティさと洗練性が強化され、インテリアではフレームレスの8.8インチセンターディスプレイが採用され、操作性と視認性が向上。コネクティビティ機能の拡充により、スマートフォン連携やマツダコネクトの利便性も飛躍的に向上しています。
これらの革新的な改良点は、ND型ロードスターの持つ走りの本質をさらに深化させたものであり、中古車市場においても高い評価と需要が予想されます。
ロードスター人気モデルの買取・査定相場
ロードスターは、初代モデル(NA型)、2代目モデル(NB型)、3代目モデル(NC型)、現行モデル(ND型)の4種類のモデルがあります。それぞれ違った特徴を持っているため、どのモデルも人気が高い一方で、走行距離が多いものについては査定評価が下がります。また、スポーツカーらしく、圧倒的にMT車の評価が高くなる傾向があります。
現行モデル(ND型)
2015年に登場した現行モデル(ND型)は、販売開始から年数が経過していない車両も多く、走行距離が少なければ比較的高値が付きやすいでしょう。また、SスペシャルパッケージやSレザーパッケージの流通が多いため、流通の少ないRSは査定評価も高めになります。
それぞれの買取相場は以下の通りです。
「S」 11〜341万円
「S スペシャルパッケージ」 63〜368万円
「S レザーパッケージ」 72〜420万円
「RS」 8〜428万円
ロードスターの豆知識
ロードスター最大の魅力は、ライトウェイトスポーツカーならではの軽快なハンドリングと、自然吸気エンジンのレスポンスの良さから生まれる、人馬一体のドライビングフィールです。アクセル、ブレーキ、ステアリング操作に対するクルマの反応が素直で、ドライバーの意図した通りに操れる感覚は、まさに「人馬一体」を体現しています。この操る喜びは、サーキットなどの特別な場所だけでなく、日常の速度域でも体感できることが、ロードスターの大きな強みと言えるでしょう。
概要
マツダ ロードスターは、1989年に初代モデル(NA型)が「ユーノス ロードスター」の名称で発売された、2人乗り小型オープンスポーツカーです。当時のマツダのプレミアムブランドであった「ユーノス」の第一弾車種として登場し、世界中で人気を博しました。その後、ユーノスブランドの廃止に伴い、2代目モデル(NB型)からは「マツダ ロードスター」に名称が変更されました。なお、海外市場では「Mazda MX-5」の名称で販売されています。
ロードスターは、世界累計生産台数120万台を超える、世界中で愛されるライトウェイトスポーツカーの代表格です。2000年には、「世界で最も多く生産された2人乗り小型オープンスポーツカー」としてギネス世界記録に認定されました。現在もなお進化を続け、2023年10月には現行モデル(ND型)の初となる大幅改良を実施。先進安全技術の導入や、デザインの一新など、様々な進化を遂げています。
ロードスターを高く買い取ってもらうコツ
ロードスターを高く買い取ってもらうためのポイントとなるのは、走行距離・グレード・外装や内装の3つを押さえておくことです。
一般的な走行距離の考え方として、年間1万㎞が目安となっていますが、目安より走行距離が増えやすい車種なので特に気を付ける必要があります。
外装の注意点として、4代目(ND)で設定されているマツダ独自の塗装技術「匠塗」による特別塗装色は、美しい光沢が特徴の反面、小さな傷でも査定に影響する可能性があります。通常の板金塗装では色が非常に合わせにくく、業者によっては追加料金がかかる場合もあります。傷に気付いたら事前に修理費がいくらぐらいか見積もっておいて、査定前に修理するかどうかを検討すると安心です。
また、エンジン回りのコンディションやルーフの開閉状況も査定に大きく影響します。電動ハードトップ仕様を除いたモデルでは、ソフトトップを採用しています。そのため、保管状態の悪さや経年によって幌が劣化している場合があります。帆はそもそも消耗品で、一般的には5年程度が寿命と言われています。手入れの仕方や保管状態によっては10年近くもつ例もありますが、状態によっては査定額に影響するので、不具合がある場合は事前に修理しておくとよいでしょう。
デザイン
ND型ロードスターのデザインは、それまでのロードスターのイメージを一新する大きな転換点でした。先代NC型までの丸みを帯びた親しみやすいフォルムから一転、4代目となるND型では、マツダのデザイン哲学「魂動(こどう)-Soul of Motion」に基づき、シャープで躍動感あふれるスタイリングへと進化しています。
特に注目すべきは、ロングノーズ・ショートデッキの理想的なFRスポーツカーのプロポーションを徹底的に追求した点です。ボンネットを低く抑え、前輪のオーバーハングを極限まで短縮することで、ノーズ部分がより前方に突き出たダイナミックな印象を演出。リアはタイトかつ張りのある面構成で、低重心かつワイドなスタンスを視覚的にも強調しています。全長は先代NC型よりも100mm以上短縮されているにも関わらず、ホイールベースは保たれており、凝縮感のあるシルエットに仕上がっています。
一方のロードスターRF(Retractable Fastback)は、ND型の派生モデルとして登場した電動ルーフ搭載車で、従来の幌型とは異なる美学を追求。特徴はリアピラーとルーフサイドが固定され、ルーフ中央部とリアウインドウだけが電動で開閉するタルガトップ風の構造にあります。この形式はポルシェ911タルガに近く、幌型に比べて静粛性と防犯性が向上しているのに加え、クローズ状態でもクーペとしての美しいルーフラインを維持しているのが魅力です。開閉動作は約13秒で完了し、その優雅な動きもロードスターRFならではの個性となっています。
インテリアとシート構造
インテリアデザインもまた、「走る歓び」と「ヒューマン・センタード・デザイン」を融合させた構成が特徴です。コックピットはドライバー中心にレイアウトされ、水平基調のダッシュボードにより、視認性と開放感を両立。シンプルで視線移動が少ないメーターパネル、ドライバーを包み込むようなドアトリムなど、操作系の合理性と美しさが共存しています。
特筆すべきは、新開発の「S-fit構造」シート。シートバック内部にネット素材と高反発ウレタンを組み合わせ、日常使用の快適性とスポーツ走行時の高いホールド性を両立しています。ただしこれはベースグレードでの話で、上位グレードの「RS」にはRECARO(レカロ)製の専用スポーツシートが標準装備されており、さらにサポート性と剛性が高められています。RECAROシートは高い耐久性と着座性能を持ち、スポーツドライビングを志向するユーザーから絶大な支持を得ています。
なお、2023年の商品改良ではインテリアに8.8インチのフレームレスセンターディスプレイが新たに採用され、Apple CarPlay(ワイヤレス対応)やAndroid Autoの機能性が向上。質感と使い勝手の両面で、従来の水準を大きく引き上げています。
性能・メカニズム
4代目(ND型)ロードスターは、SKYACTIV技術を全面的に採用した最初のモデルです。ソフトトップモデルは新開発の直噴1.5Lガソリンエンジン「SKYACTIV-G 1.5」を、ロードスターRFは2.0Lエンジン「SKYACTIV-G 2.0」をフロントミッドシップに搭載し、理想的な前後重量配分を実現。軽量かつ高剛性なボディには、アルミ素材や高張力鋼板を最適に配置することで、優れた運動性能と安全性能を両立しています。トランスミッションは、軽快なシフトフィールとダイレクト感のある6速MTと、スムーズな変速とパドルシフトによるスポーティな走りが楽しめる6速ATが用意されています。2023年10月の改良では、アクセル操作へのレスポンスを向上させた駆動力制御や、旋回時の安定性を高める新開発のアシンメトリックLSDがSグレードを除くMT車に導入され、走りがさらに進化しました。
コストパフォーマンス
ロードスターは、スポーツカーでありながら優れた燃費性能も魅力です。グレードやトランスミッションによって多少の差はありますが、WLTCモード燃費で、ソフトトップモデルは15.0〜16.4km/L、ロードスターRFは15.2〜15.8km/Lを実現し、経済的な維持費も魅力の一つです。また、1.5Lエンジン搭載のソフトトップモデルは自動車税も比較的安く、維持しやすいスポーツカーと言えるでしょう。
ロードスターの人気グレード【ND型:2015年~現行モデル】
ND型ロードスター(2015年登場~)は、現行型として8年以上にわたり進化を続けてきたロングセラーモデルであり、多彩なグレード展開と仕様の違いが中古市場においても高い注目を集めています。特に、2023年10月の商品改良を経た最新型(通称「ND3」)では装備の大幅強化がなされ、グレードごとの特性も明確になっています。
ここではND型ロードスターの中でも、特に人気が高く高価買取が期待される3つの主要グレードについて紹介します。
S スペシャルパッケージ(2015年〜継続販売)
ベースグレード「S」の軽快な走りを維持しつつ、快適装備をバランス良く追加した中核グレードです。
フルオートエアコン、アドバンストキーレスエントリー、センターディスプレイ(マツダコネクト)+コマンダーコントロールといった利便性装備を標準装備しており、日常使いでも不満のない快適性を誇ります。
前期モデル(〜2023年改良前)では、オプション設定として「セーフティパッケージ(TSR、LDWS、MRCC等)」や「シートヒーター」「BOSEサウンドシステム」などを追加可能。こうした装備の有無は中古市場での価値に大きく影響します。
S レザーパッケージ(2015年〜継続販売)
「S スペシャルパッケージ」に高級感と快適性をプラスした上級グレードです。
ナッパレザーシート(Vセレクション、Whiteセレクションなど)や、シートヒーター、BOSEサウンドシステム(AUDIOPILOT2搭載9スピーカー)など、質の高い内装装備が魅力。冬季でも快適なドライブが可能です。
2023年10月の商品改良以降(ND3)では、「Vセレクション」に新色ナッパレザー(スポーツタン)×ベージュ幌の組み合わせが追加され、クラシックかつ上質な外観が高い評価を受けています。
さらに、安全装備としてTSR(交通標識認識)、LDWS(車線逸脱警報)、MRCC(レーダークルーズコントロール)などを含むセーフティパッケージが標準装備となっており、現行車両の中でも人気が高いグレードです。
RS(2015年〜継続販売/ソフトトップ専用)
RSは「S スペシャルパッケージ」をベースに、走行性能を追求したスポーツ志向グレードです。
主な専用装備には以下が含まれます。
- ビルシュタイン製ダンパー(専用セッティング)
- レカロ製バケットシート(S-fit構造/ヒーター付き)
- フロントサスタワーバー
- 大径ブレーキローター&ブレーキキャリパー(制動性能強化)
特にND3以降では、アシンメトリックLSDやDSC-TRACKモードが追加され、意図に忠実なリヤトラクションと高い限界域のコントロール性能が実現。サーキット志向のユーザーや熱心なドライバーにとって、魅力的な選択肢となっています。
なお、RSはソフトトップモデルにのみ設定されており、ロードスターRF(電動ハードトップ)には設定されていません。
【補足】ロードスターRFの人気グレード
電動格納式ルーフ「リトラクタブル・ファストバック(RF)」を搭載したロードスターRFには、以下の人気グレードが存在します。
VS/VS レザーパッケージ:ナッパレザー、BOSE、セーフティ装備完備の快適系グレード。
RS(RF専用):ビルシュタインダンパーやリヤスポイラー装備でスポーティ仕様に特化。
※RF RSは2023年10月の改良で復活(以前は廃止されていた)。
RFはソフトトップと比較して静粛性と全天候性能に優れ、ルーフ構造も911タルガに近い「ルーフ部のみ開閉・ピラー固定型」となっており、デザイン性と機能性の両立が好評です。
ロードスターの人気カラー
ロードスターの人気カラーは、通常グレードのものかRFかによって若干順位が異なりますが、総合的に人気の高いカラーはレッド系・ホワイト系・メタル(グレー)系の以下3色です。
- ソウルレッドクリスタルメタリック
- スノーフレイクホワイトパールマイカ
- マシーングレープレミアムメタリック
現行型ロードスターは「匠塗」と呼ばれる独自塗装技術が採用されているカラーもあります。上記の人気カラーのうち、ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリックが「匠塗」仕様のボディカラーとなっていることでも「匠塗」カラーが人気を集めていることが分かります。
ロードスターの人気オプション
ロードスターの人気オプションは次の5つです。社外で購入できるものもありますが、純正ならではの付加価値もあります。
【フロアマット】
車内をきれいに保つことができることから中古車査定でも人気が高いオプションです。
【アルミペダルセット】
ドレスアップ目的で実用性は薄いですが、装飾効果で高級感が増すことから人気があります。
【トランクルームトレイ】
トランクルーム用の収納ケースです。トランクルームを小さく分けるのに使え、不要時はトレイを取り外して荷物を降ろせるので、荷物があるときに便利です。
【バックモニター】
マツダコネクトを選択した場合に取り付けられるオプションで、死角の不安解消のために選択するユーザーは多いです。
【セーフティパッケージ】
自動ブレーキや車線逸脱を知らせる機能で、MT車とAT車とでやや内容が異なるものの、大きな事故の増えている近年では装備するケースが増えています。
上記以外でも、BOSEサウンドシステムやエアロパーツなども高い評価を受けやすくなっています。
ロードスターの歴史
1989年に初代ロードスター(NA型)が登場した当時、世界的に2人乗り小型オープンスポーツカー市場は縮小傾向にあり、新型車が登場しない時期が続いていました。そんな中、ライトウェイトスポーツカーの本質を追求した初代ロードスターは、走りの楽しさと、オープンカーならではの爽快感で、世界的な大ヒットを記録。各自動車メーカーが追随して小型オープンスポーツカーを発売するきっかけとなり、市場の活性化に大きく貢献しました。初代ロードスターは、当時マツダのプレミアムブランドであった「ユーノス」の第一弾車種として、「ユーノス ロードスター」の名称で発売されました。
初代 NA型
1960年代のヨーロッパで人気を集めたライトウェイトスポーツカーの精神を現代に蘇らせたのが、初代マツダ・ロードスター(NA型)です。マツダが掲げた開発コンセプト「人馬一体」のもと、ドライバーとクルマが一体となって走る楽しさを追求。軽快なハンドリングとオープンエアの爽快感は世界中のファンを魅了し、一大ブームを巻き起こしました。丸みを帯びた親しみやすいデザインも、ロードスターの魅力を語るうえで欠かせない要素です。
初代ロードスターの走りの根幹を支えたのは、軽量なボディと、バランスに優れたFR(フロントエンジン・リアドライブ)レイアウト、そしてそのFRを最大限に活かすために専用設計されたシャシーです。前後重量配分を50:50に近づけ、ステアリング操作に対して素直かつ俊敏に反応するハンドリングを実現しました。この「軽さ」と「バランス」が生む自然なフィーリングこそが、「人馬一体」の原点であり、以降の世代にも受け継がれるロードスターのDNAとなりました。
また、無駄を徹底的に削ぎ落とした設計も特筆すべき点です。2シーターの割り切ったパッケージング、手動開閉式のシンプルなソフトトップ、装備を必要最小限に抑えた内装など、すべてが「軽さ」と「走る歓び」に直結しています。
さらに1993年のマイナーチェンジでは、従来の1.6Lエンジンに代えてトルクに余裕のある1.8Lエンジンを搭載。サスペンションのチューニングも最適化され、ロードスターとしての魅力をさらに磨き上げました。
2代目 NB型
2代目NB型ロードスターは、1998年に発売され、ユーノスブランドの終了に伴い「マツダ ロードスター」として新たなスタートを切ります。初代の「意のままに操る楽しさ」と「オープン走行の爽快感」という基本的なコンセプトは継承しつつ、快適性と安全性を向上させたモデルです。ワイド&ローを強調することでよりスポーティなデザインを追求しました。
走行性能においては、理想的な前後重量バランスと後輪駆動(FR)方式を採用し、フロントミッドシップレイアウトにより重量物を車体中心に近づけることで、優れた運動性能を実現しました。4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションは、初代から継承しつつ主要部位の剛性アップや構造変更を行い、リニアな応答性と優れた路面追従性を獲得しています。初代から引き続き採用された1.8Lエンジンのほか、1.6Lエンジンも復活しました。
バリエーションの拡充も特徴で、クーペモデルやターボエンジンモデルも設定され、誕生10周年には世界統一仕様の特別仕様車も発売されました。多様なニーズに応えるラインナップで、より多くのドライバーにロードスターの魅力を届けた世代とも言えます。
デザイン面では、リトラクタブルヘッドライトを廃止し、固定式ヘッドライトに変更したことで、現代的なルックスに変化しました。
3代目 NC型
2005年に登場した3代目NC型は、ボディサイズが拡大され3ナンバーサイズに。新開発2.0Lエンジンを搭載した完全新設計のロードスターは、モダンで親しみやすいスタイルに刷新しつつ、シリーズ伝統のドライビングプレジャーを継承しています。3代目ロードスターの大きな特徴として、電動ルーフ搭載のパワーリトラクタブルハードトップモデルが追加されたことが挙げられます。パワーリトラクタブルハードトップモデルは、電動開閉式軽量ハードトップの採用により、クローズ時は流麗で小粋な印象を与えます。
軽快さや伸びやかさ、サウンド特性などのバランスを考慮し、軽量かつコンパクトな2.0L MZRエンジンを採用。ボディの軽量化と最適な重量配分で性能を向上させました。6速MTと操作性の向上を図った5速MT、さらに6速ATが揃います。
4代目 ND型
2015年に発売された4代目ロードスター(ND型)は、1.5L直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G 1.5」を搭載した、歴代最軽量モデルです。最新の環境・安全性能を満たしながら、徹底した軽量化により、ソフトトップモデルでは1トンを切る車両重量を実現。初代ロードスターに匹敵する軽快なハンドリングと、パワー不足を感じさせない力強い走りを両立しています。
デザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」を採用したエクステリアは、ロングノーズ・ショートデッキのFRスポーツカーらしい美しいプロポーションと、低くワイドなスタンスが特徴です。2016年には、電動開閉式ルーフ「リトラクタブル・ファストバック」を採用したロードスターRFが登場。ファストバックスタイルの美しいクーペフォルムと、オープンエアモータリングの双方を楽しめるモデルとして、人気を博しています。ロードスターRFは、2.0L直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.0」を搭載し、よりパワフルな走りを実現しています。
2023年10月には、ND型ロードスターとしては初となる大幅改良を実施。冒頭でも述べた通り、マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)やスマート・ブレーキ・サポート[後退時検知機能(SBS-RC)]などの先進安全技術が導入されたほか、様々な進化を遂げています。
ロードスターの買取参考相場と傾向
マツダ ロードスターの買取相場の傾向は、ほかの車とは違った特徴を持っています。
最大の特徴は年式が古いものであっても、グレードそのものに人気があれば現行モデルよりも高額で買い取ってもらえるケースもある点です。
特に初代と2代目のロードスターは、近年注目を集めているネオクラシックカーと呼ばれるジャンルに分類されており、一部の自動車マニアから熱烈な支持を集めています。
また、もともとアメリカ市場に初めて投入された車であることから、日本国内外で高い人気を博しています。
もちろんロードスターすべてがこの傾向に当てはまるわけではなく、基本的には別の車と同じく年式・走行距離による違いが大きく数字に現れるのは事実です。
モデルサイクルが遅いため、あまり急激な値下がりをしないことでも有名ですが、2022年3月以降は年式に関わらず乱高下している状態になっています。
ここでは3年落ち・5年落ち・7年落ちのそれぞれに分けて、買取相場の傾向を解説します。
3年落ち
3年落ちのロードスターは、なぜか買取価格が急落しており、2022年2月時点と比較すると60万円近い下落幅となっています。
多くの車が同タイミングから買取価格を落としているものの、ロードスターのこの数字は異常というべき数字です。
原因はさまざま考えられますが、後述する7年落ちおよびそれより古い型式で人気が高いロードスターに人気が集中していることが関係しているのではないかと思われます。
単純に中古車市場に台数があまり流通していないことも原因のひとつではあるでしょう。
コレクション性が高いロードスターは、3年程度で手放すオーナーはそう多くはありません。
考えられるひとつの原因として、状態のよくないロードスターが増えたからではないかというものがあります。
事故車や故障車ではなく、走行距離がかさんでいる個体のことです。
車の性質上、走行距離がかさむのは仕方がないのですが、5万kmなどのあまりに膨大な場合は高額査定が期待できないケースも考えられます。
加えて、昨今の自動車ニーズから考えても、ロードスターのようなタイプは需要が少なくなっています。
その結果、買取相場に大きな影響を与えている可能性があるのです。
5年落ち
5年落ちのロードスターも3年落ち同様、大幅に平均査定額を落としてしまっています。
ロードスターのリセールバリュー低下が早い原因のひとつに、毎年製品改良がおこなわれていることもあるでしょう。
ロードスター以外のいくつかの車でも、毎年改良がおこなわれている車は存在していますが、総じてリセールバリューが低下しやすいという特徴があるのです。
それでも5年落ちであれば、まだまだ新車価格の半額程度は狙うことができるレベルであるため、故障や不調がないかを確認して買取査定に出すのがおすすめです。
7年落ち
7年落ちのロードスターは平均値を取ると100万円前後の買取価格となってしまっています。
スポーツカーであることから年式がかさむと途端にリセールは低下。
ほかの車ほどの高額査定は期待できなくなってしまいます。
しかし、一部のグレードは7年落ちはおろか、それ以前の年式でも高額査定につながる可能性もあるのです。
理由は市場での流通台数の少なさと、年式が古くなるにつれて台数が少なくなったことによるプレミア化が関係しています。
状態に左右される側面もありますが、ぜひ一度買取査定に出してみることをおすすめします。
思わぬ買取価格で査定してもらえるかもしれません。